前回のコラムの補足をさせていただきます。IPL(光)機器の大きな使用目的というものは、加齢した皮膚に対するリジュビネーション(つまり若返り)効果であり、この波長とは一般的にメラニン・ヘモグロビンの吸収率が高い590〜1,200nm程度を発振しているのですが、この程度の波長帯は、IPL(光)脱毛には適さない波長であるのです。IPL(光)脱毛の標的となる毛根に位置するメラニンは、波長が短いほど吸収率が高く、波長が長いほど深達度が高いといわれています。そのためレーザー脱毛では、以前のコラムで触れたアレキサンドライトレーザー(755nm)・ダイオードレーザー(810nm)・Nd:YAGレーザー(1064nm)などが用いられています。深達度を獲得することはもちろんなのですが、効果的な脱毛を達成するためには、表皮のメラニンに過剰反応をさせないという視点から、長い波長が好ましいというのが脱毛専門家の一般的な見解であるのです。つまりIPL(光)機器であればすべて、脱毛効果に適した機能を保有しているかというと、それは誤った認識であるのです。
【目次】
1.IPL(光)脱毛に適した波長を保有する具体的脱毛器(マシーン)について
2.蓄熱脱毛機能を保有する、IPL(光)脱毛器(マシーン)について
3.今回のまとめ
IPL(光)脱毛に適した波長を保有する具体的脱毛器(マシーン)について
現在国内で普及している医療系のIPL(光)脱毛器で脱毛に適した波長帯のフィルターを備えているものには、キュテラ社製プロウェーブ(770nm〜1100nm)・サイトンシャ社製BBLs(695〜1400nm)・シネロンキャンデラ社製エリプス光治療器(645nm〜950nm)などがあります。例えばキュテラ社製プロウェーブや、サイトンシャ社製BBLsには、表皮を保護しながら脱毛において必要に足る熱影響が及ぶために、高性能な接触式冷却装置が搭載をされています。光を照射するとき、冷却した無色透明なジェルを使用しますが、この目的は、光適合性を高めること・表皮を保護することのどちらにも該当するのです。IPL(光)脱毛器(マシーン)の照射面スポットサイズは大きな長方形で、キュテラ社製プロウェーブは10×30 mm2・サイトンシャ社製BBLsは15×45 mm2といったサイズです。大きなスポットサイズは、短時間で脱毛施術を終了させる効率的な照射に貢献はするのですが、小範囲であったり、肌によって起伏のある部分への脱毛効果性は必然的に弱いものになるといえます。しかしながらサイトンシャ社製BBLsは、15×15 mm2といった小さなスポットサイズにブロブが変更できるという点は、汎用性が高く脱毛専門家も同脱毛器(マシーン)を優秀であるという意見もあります。
蓄熱脱毛機能を保有する、IPL(光)脱毛器(マシーン)について
前述したサイトンシャ社製BBLsは、蓄熱脱毛機能もまた、保有しています。蓄熱脱毛とは、設定した脱毛エリア内に複数パスの光照射を行うことで、蓄積された熱が毛包構成細胞を破壊する脱毛方法です。サイトンシャ社製BBLsのケースでは、脱毛エリアの肌タイプ・毛の色・太さ・体毛の密度を選択することで、オートマチックに脱毛プログラムが構成されていきます。レーザー脱毛や、IPL(光)脱毛に比べて比較的低出力な光照射が行われるため、火傷や痛みを軽度に抑えられるという点が、蓄熱脱毛の大きな特徴です。
今回のまとめ
当店では全身脱毛施術率が極めて高く、それは店舗の料金設定や私たちの提案ということが原因ではありません。脱毛のきっかけとして各部位(顔・わき・うなじ・腕・脚・背中・VIOなど)限定を脱毛するお問い合わせがあったとしても、「全身脱毛して肌をツルツルの状態にしたい」ということが、男性(メンズ)・女性の本質的なニーズであることは、現場に立つ私たちが一番よくわかっているのです。NPL脱毛方式の脱毛器(マシーン)はもちろんのことなのですが、IPL(光)脱毛器(マシーン)もまた、光の性質だけでなく、照射フィルター設計など機器構造にまで、イノベーションは過去も現在も変わらず継続しているのです。