先日来店いただいたお客様は36歳の男性(メンズ)でした。お客様は美容系の商材を取り扱う会社に長期にお勤めされているにも関わらず、「脱毛店舗には初めて来ました」と言われました。お客様はここ数年間ずっと、顔・髭・VIO・腕・脚・VIOなど、様々な部位の脱毛に興味はあったものの、あと一歩のところで脱毛クリニックや脱毛エステに足を運ぶことを躊躇っていたそうです(当店ではこのように「初めて脱毛サロンに来る」という方は7割〜8割おられます)。お客様はこれまで脱毛サロンに通った経験はないということでしたが、家庭用脱毛器を複数回購入、その度に少し使用して止めることを繰り返しておられたそうなのです。そして毎回腕にこの家庭用脱毛器をあててみては、結局使わなくなってしまうそうなのです。お客様がご購入される家庭用脱毛器の価格帯は5万円〜10万円という決して安くはない商品なのですが、継続して使わなくなる理由をご質問すると、主に2つの理由でした。それは「痛いこと」「体毛が減らないこと」。実にシンプルな理由です。
【目次】
1.介護脱毛の概念や有用性は、まだまだ日本では強調されていない
2.介護脱毛に至るまで。脱毛の歴史
3.今回のまとめ
介護脱毛の概念や有用性は、まだまだ日本では強調されていない
世界的に見て介護脱毛は時流であるといえるのですが、これはいずれ当たり前に定着する文化だともいわれています。日本では近年介護脱毛というキーワードが声高に叫ばれていますが、以前のコラムでも述べましたように、欧米に比べてまだまだ認知や有用性の理解といった点について日本は大変レベルが低いといえるでしょう。と、いいますのも高齢での介護施設入所や、入院における皮膚障害については、イギリスのNational Health Service(NHS)を中心に、水分関連皮膚損傷(moisyure-associated skin damage)が議論されており、その中でも特に失禁関連皮膚炎(incontinence- associated dermatitis)の観点が重点的に検討されています。日本においては、介護現場での検討がゆっくりと進んではいるのですが、まだまだ介護脱毛の概念や有用性は強調されているとはいえないでしょう。
介護脱毛に至るまで。脱毛の歴史
日本はまだまだ脱毛において世界的に見ると発展途上だとはいえますが、そうはいっても「介護脱毛」というキーワードが浸透するにまで至ったことは事実です。そもそも脱毛とは、衛生的・文化的・宗教的・美的・性的という様々な目的で行われているのですが、特に欧米やイスラム文化圏では、主に美意識の問題・寄生虫の衛生問題として古代から行われている行為です。私の知人には日本人医師がいるのですが、その彼が1980年に医師になった頃、美意識を動機として脇の脱毛を希望する日本女性の来院は一気に増えて、大学では針(電気分解)脱毛が始まった記憶があるとよく話しています。そしてその初期には、針にシールドはなく数年の後にシールド付きの針による脱毛が始まったのだとも話しています。しかしその頃には、脇・腕・脚といった部位はもちろん、眉や手の指の脱毛依頼はあったのだが、VIO部位の脱毛依頼は記憶にはなく、主に有毛性色素性母斑の治療や、扁平母斑に脱毛をしていたらしいのです。
今回のまとめ
お客様による冒頭のエピソードなのですが、これは該当する家庭用脱毛器がどれもこれも「IPL方式」によるものだということが原因です。毛根のメラニンにアプローチするIPL方式の光脱毛であれば、例え家庭用であろうとも、輪ゴムで弾くような痛みは肌表面にしつこく繰り返しますし、体毛の休止期に毛根にアプローチをしたところで、脱毛することは身体のメカニズム上、不可能であるということです。