ヨーロッパ各地に広がったゲルマン人や、ゲルマン人の一派であるノルマン人によって、世界中に様々な部族が広がり、現在のヨーロッパの国々の原型を作って行った中世ヨーロッパ。それぞれの部族同士の争いの中で、キリスト教が普及し、「騎士道」という概念が広がると共に、ローマ帝国時代には「無くすことが美しい」とされていた髭が復活しました。しかし、無造作に生やすのではなく、形を整えたり、様々なスタイルにしたりとデザイン性豊かなものが流行りました。しかし、その後の中世ヨーロッパでは美容に関してはなかなか発展していきません。それはキリスト教の影響を強く受けてのものでした。
【目次】
1.脱毛や美容にまで影響を与える宗教。キリスト教はなぜヨーロッパに広がった?
2.女性は脱毛も美容も禁止!風呂も不衛生?!今とは違う中世ヨーロッパの常識
3.少しずつ変化していく脱毛や髪型への意識。宗教や上流階級により流行は変わる
4.今回のまとめ
脱毛や美容にまで影響を与える宗教。キリスト教はなぜヨーロッパに広がった?
元々キリスト教やイスラム教、ユダヤ教は現在の中東あたり、砂漠地帯で生まれました。現在、ヨーロッパの宗教といえばキリスト教が大半を占めているイメージですが、キリスト教の故郷は中東です。つまり、キリスト教は西洋が輸入した宗教となります。中世以前の大陸の主導権を握っていたのはローマ帝国であり、ローマ帝国は多神教でした。その後ローマ帝国が衰退した後に台頭したゲルマン人も多神教でした。しかし、次第にキリスト教が浸透していきますが、その理由は様々です。その理由の中でも、中世ヨーロッパに広く浸透したのは、①布教側(ローマ・カトリック教会)の戦略が優れていたこと。②受け入れ側の需要メリットがあったこと。の2点が大きいのではないかと考えられます。布教側の戦略として、まず初めに支配層を布教のターゲットとしたこと。それから土着の信仰をキリスト教にすり替えていったことで民衆にも受け入れられました。そして、需要側の支配層も国の統治にキリスト教の発展した組織制度が有用だったため、受け入れることにしたのです。お互いにWINWINの関係であったといえますね。やはり、政治と宗教は切っても切れないものであるようです。それが、人々の生活様式、美容や健康にまで影響してくるのです。
女性は脱毛も美容も禁止!風呂も不衛生?!今とは違う中世ヨーロッパの常識
キリスト教の教えは、女性の美容にも大きく影響を与えていきます。キリスト教の教えでは、「女性は生まれながらにして罪深い」としており、ファッションや化粧、恋愛さえも禁止されました。芸術や美容は発展せず、停滞の時代へ入っていきます。戦争や流行病が蔓延すると、ヨーロッパでは病気を防ぐために脱毛が行われました。この時代、風呂は不衛生で病気を引き起こす原因と捉えられており、人々は風呂には入らず、ノミやシラミから体を守るために毛を剃ったり、ピンセットで抜いたりして、ムダ毛処理をしていたそうです。宗教や美容の為でなく、衛生の為の脱毛に後退した時代。キリスト教の弾圧の影響もあり、ファッションやヘアスタイルも地味で目立たないものが主流となっていきました。キリスト教の教えでは、善良な生活というのは、清貧と博愛であり、地上ではなく天国の宝を貯めろ、つまり、汚い世界である地上でお金を貯めても、腐ってしまうだけなので、あなたたちの富が腐ってしまうことのない天国にお金を貯めなさい。現世では清い行いをして貧しい生活に案じていなさい。という考え方であったため、敬虔なキリスト教徒であればあるほど、教えを守っていました。
少しずつ変化していく脱毛や髪型への意識。宗教や上流階級により流行は変わる
1200年初頭になると、イングランド王のヘンリー1世が、司教から髪を切るように命じられ、切る代わりにウィッグをつけると、これをきっかけに風潮が変わります。髪をしっかり剃ってから、ウィッグを被るというスタイルが大流行していくのです。宮廷では、誰もがカツラを被り、ロングヘアにするというスタイル(よく肖像画で見ますね)が100年間好まれます。当時、キリスト教の影響を最も受けていたビザンチンでさえ、キリスト教徒がウィッグのために髪を剃っていたといいます。ずっとおしゃれを我慢していた分、反動も大きかったのでしょう。イギリスやドイツでは、刃物産業が発展し、カミソリの切れ味がよくなり、ヒゲ剃りを生業にする人々が現れました。1300年頃では、フランスでウィッグ師という職業ができ、高貴な女性たちは、貧しい人たちの髪を使ってウィッグを作らせていました。これにより、市民の間では、上流階級の人々に対して、強い反感を抱いている人が多かったようです。戦争やキリスト教の力によって、市民と貴族の間に大きな格差が生まれ、それがおよそ100年間続いていきました。
今回のまとめ
一時期は、キリスト教の教えにより、美容の発展が止まってしまいましたが、次第に国々が台頭していき、それぞれがうまく統治されていくと、再び美容へと目を向けるようになっていきました。しかし、国ができてからの時代は剃毛をして身だしなみを整えるということができたのは、ほとんどが上流階級の人の特権でした。ローマ帝国は後々市民にも脱毛文化が広がりましたが、中世ヨーロッパでは、キリスト教の影響で格差が広がり、市民が自分の身だしなみを整えるほどの余力はなかったようです。現代に生まれ、自分の美容や健康、好きなことのために、ある程度自由にお金を使える私たちは、恵まれていますね。
福井脱毛エステティックサロンUNO>>>ichikara
中村真綾