前回は、脱毛が世界で進化していった過程、きっかけについてお話しをしていきました。今回はまた日本に戻り、日本の脱毛の歴史についてお話しをしていきたいと思います。約4500年前、世界でヒッタイト人の手によって鉄が生まれてから時は経ち、今から約1700年前になると、日本は古墳時代へと入ります。紀元前２世紀〜３世紀ごろになって、ようやく日本にも鉄器が伝わってくるのです。世界から見るとまだまだ遅れていた古墳時代の日本ですが、鉄器が入ったことでどのような変化を起こしたのでしょうか。
【目次】
1.日本における化粧の始まりと道具の進化
2.仏教の伝来によって伝わったカミソリ。日本で初めて文化的な脱毛が始まる。
3.今回のまとめ
日本における化粧の始まりと道具の進化
古墳時代というと、思い浮かべるのは「埴輪」という人は多いのではないでしょうか？現代の発掘調査で、古墳からは多くの埴輪が出土されました。そんな古墳時代は、今から約1700年前に始まりました。縄文時代や弥生時代の人々が、黒曜石という石を加工して、カミソリのようにして、衛生のために除毛をしていた時代から、古墳時代へと移り変わると、刀子（とうす）と呼ばれる小刀や、ハサミといった鉄を用いて制作された道具を使用するようになります。実際に、大阪市の平野区にある喜連東（きれひがし）遺跡からは、古墳時代に使われていたとされる刀子が発見されています。こうした鉄器を用いた道具は、紀元前２〜３世紀ごろ、主に朝鮮や中国から日本へと伝わりました。これらが脱毛に使われていたかどうかは定かではないのですが、カッターナイフのように身近なものを切るために使われていたと考えられています。こうした鉄器を始めとする道具が、大陸から日本へもたらされたのが古墳時代でした。余談ですが、古墳時代に作られたと思われる埴輪から、顔に赤色の顔料が塗られていたことが発見されました。埴輪は人をかたどったものであるため、この埴輪の発見から、この時代は顔に赤い着色を施す風習があったと考えられます。赤は太陽や火、血液を連想させるものです。赤土を塗ることで、魔除けや死者の再生を祈願し、神への畏敬の念を表していたと考えられており、これが日本における化粧の始まりだとされています。
仏教の伝来によって伝わったカミソリ。日本で初めて文化的な脱毛が始まる。
欽明天皇（第29代）治世の538年、日本に初めて鉄製のカミソリが伝わりました。これが、日本で起こる文化的な脱毛の始まりと言われています。この時代に、朝鮮半島の百済から大陸を渡って仏教が日本に広まりました。なぜ、百済が日本へ仏教を伝えることになったのかと言うと、当時の朝鮮半島は、百済・高句麗・新羅に分かれていた時代でした。この三国は、頻繁に戦を起こしていました。369年には、高句麗からの激しい侵略を受けていた百済が、日本への同盟を求めて「七支刀」（しちとう）というものを贈ったと伝わっています。その後も度々、日本は百済からの願いを聞き入れて軍事援助するようになりました。時は流れ、仏教は欽明天皇の代の頃、百済への軍事援助の見返りとして、百済の「聖明王」より仏像や経典が贈られました。当時の仏教は、宗教というよりも「大陸で生まれた最新の文化」という意味合いが強く、そうした文化を取り入れることが、国際的地位を上げることに繋がると考えられていました。すでに渡来人から仏教に伝わっていたものの、国家間の公的な交渉として、仏教が伝えられたのはこの頃のことで、大陸の最新の技術や文化を取り入れようという動きからでした。その中の文化の１つとしてカミソリがあったのです。カミソリは、僧侶が髪を剃るための「法具」として使われていたそうです。鍛鉄製（たんてつせい）の刃物になっていて、長方形をした薄くて平らなものでした。名前の由来も、髪を剃るものだったから、「かみそり」となったのですね。今でもこの呼び名が使われていることからも、当時の仏教とカミソリの関係の深さが伺えますね。
今回のまとめ
古くから宗教的なことは、政治をしていく上でとても意味合いの大きなものでした。この時代も例に漏れず、仏教は絶大な影響力を誇っていました。ただ、仏教と共に伝わったカミソリでしたが、あくまでもこの時代のカミソリは、神聖な宝具の１つであり、実際に髪を剃るためには使われていませんでした。竹を小刀のように削った箏刀（たとう）や、中国から伝わった鋏（はさみ）や、刀子が使われていました。日本での文化的な脱毛の始まりではありますが、一般庶民にまでは浸透していなかったようです。次回も古墳時代から飛鳥時代の脱毛についてお話ししていこうと思います。
福井脱毛エステティックサロンUNO>>>ichikara
中村真綾
