前回は鎌倉時代の脱毛についてお話しました。鎌倉時代は、武士が台頭し始めた時代で、この時に武士ならではというスタイルである、月代（さかやき）という前頭部から頭頂部にかけて髪を剃り上げたスタイルが始まりました。常に烏帽子を被っていたり、戦時には兜を被っていたりと、常に頭に何かを被っていたこの時代、頭髪があることで蒸れてしまうのを防ぐために、髪を剃っていました。剃っていたとは言っても、当初は髪の毛を木製の毛抜きで抜いていたので、血が出たりして大変だったようです。そこから室町時代以降になると、どのように変わっていくのでしょうか。
【目次】
1.時代背景で見た目は変わる！室町時代は服装が簡略化された！
2.一般庶民の間では、剃毛はされていなかった
3.今回のまとめ
時代背景で見た目は変わる！室町時代は服装が簡略化された！
1336年に室町幕府は誕生しました。勇ましい武士の時代へと変わり始めた時代です。男性は、余った髪を根本からまとめて、棒状にまとめ上げるスタイル、束ねて折り曲げた髪を頭に乗せる折り髷というスタイルが多くなっていきました。この時代も、貴族や武家の上流階級の女性の間では、黒く長い髪が美しさのステータスであることは変わりませんでした。室町時代も平安時代と同じように、身分によって服装が違いましたが、どれも段々と簡便になっていきました。この時代、ポイントは「動きやすさ」でした。武士は戦いが多く、儀礼的な装いよりも実践的、機能的な服装を求めるようになりました。戦以外での武士もまた、庶民が着る小袖という服装を基本として、簡略化した服を着るようになっていきました。これに合わせ、武家の女性も新しく「打掛姿」（うちかけすがた）や「腰巻姿」（こしまきすがた）という服装が主流になっていきます。これまでの公家から影響を受けた衣服から、袴を省略して、小袖を着流すという動きやすいスタイルへと変化していったのです。公家も、その勢力の弱体化により、服装を簡便化せざるを得なくなりました。以前の華美な姿は形を潜め、小袖を上着とする服装が認められるようになっていきます。室町時代後期にもなると、一般女性の装いに変化が現れます。庶民の服装もまた変化していきます。庶民の中からは行商人が増え、各地の行き来が活発化したことや、農業技術の発展によって農作物の生産量が増えたことにより、それまで生まれ育った町や村だけが行動範囲だった人達も、これまでより活動的になっていったのです。庶民は日常着として動きやすい小袖を着ていました。
一般庶民の間では、剃毛はされていなかった
髪型も、家事や労働の邪魔にならないように、段々と長い髪を束ねるようになっていきました。髪を低い位置で１本にまとめた「下げ髪」や髪を１本に結んだ後、先を輪に結んだ「魂結び」という髪型が日常的になりました。これはとても簡単にできるので、上流階級から一般庶民にまで広まっていた髪型でした。時代劇をよく見る人はイメージが付きやすい髪型かもしれませんね。同じ頃、世の中が落ち着くにつれて、戦乱で乱れた秩序を回復しようと、武家では礼儀作法や武家制度が整備され、その中の１つとして、化粧の基本が定められました。眉の形や身分、職業、年齢などによって、メイクに細かな決まりができたのです。上流階級で定められたメイクは、男性、女性共に白粉、引眉、お歯黒というのが決まりでした。ここから、正式な儀式では、このメイクが定例化しました。これが、以降続く日本の化粧の基礎となったと言われます。それにより、上流階級の女性だけの特権であったメイクが一般庶民にも広がるようになりました。庶民のメイクは、公家の女性が好んだ引眉ではなく、自分の眉を生かし、眉毛を抜かずに整え、白粉も薄くつける程度のものでした。
今回のまとめ
時代背景、環境により、服装や髪型というのは変容していきます。それに伴って、脱毛事情も変わっていくのです。脱毛の理由というのは様々で、宗教的理由であったり、美容的な観点からであったりもします。美的価値観もまた、時代の流れや国、身分によっても変わります。それに合わせて体毛を除毛したり、剃毛したりしますし、どの部位を剃毛するのかも変わってきます。太古の昔、人々が衛生的観点から除毛をしていたように、武士たちは頭髪を剃ったり、貴族は眉毛を剃ったり抜いたりしていましたが、この時代の日本はまだまだ美容的な脱毛は発展していませんでした。この後どのように変化していくのでしょうか。次回は戦国時代以降の脱毛の歴史についてお話していこうと思います。
福井脱毛エステティックサロンUNO>>>ichikara
中村真綾
